日本版NP制度で看護師の業務・裁量範囲はどうなるのか
2008年に大分県立看護科学大学大学院修士課程において日本初となるナースプラクティショナー(以下、NP)の教育が始まったのを皮切りに、既に複数の大学院修士課程でNPの教育が実施されるまでに至っています。
日本の医療保健体制のなかでは、チーム医療という考え方が不可欠であり、更に看護師の業務・裁量範囲を拡大したNPの導入が必要であると各大学が判断したためです。
また、制度の確立を待っていては、多くの医療先進国でなくてはならない存在になっているNPが、日本でいつまでも実現しない、更に看護の現状は自立には程遠いと考え、看護師のキャリアアップ、改革への一歩のためにNPの教育をスタートさせました。
現状での日本におけるNPの教育は、慢性期疾患の患者を対象にしたNP、主にクリティカル領域の患者をカバーで きるNPの2つに大別されます。前者は、地域で生活する人々を対象に、老健施設や訪問看護ステーションなどで、後者は、病院のERやICU、外科形病棟 で、それぞれ医師と連携を図りながら、自立して医療的介入ができることを目指しています。
日本NP協議会では、アメリカをモデル に、日本の特徴を加味して必要な能力を設定し、それらを習得するためにカリキュラムを組み立てています。大学院修士課程の2年間で、患者の病態に対する的 確な「予測・判断能力」と「医療処置能力」を習得させるために、フィジカルアセスメント・薬理学・病態生理学の知識・技術をベースにしています。
さらに慢性期とクリティカルのNPが医療的介入を責任を持って実施できるように、各大学で43単位以上(14単位以上の実習を含む)学ぶ内容となっています。
NPはアメリカで始まった制度で、法体系、医療保険制度が異なり、日本版NP制度を確立していく必要があり、日本NP協議会を中心に各大学が連携を取り、関係者の協力を得ながら検討を勧めています。