リンパ浮腫の患者に対する複合的理学療法

高齢化によるがんの患者さんの増加に伴い、放射線治療などによってリンパ管の障害を受けたリンパ浮腫の患者さんも増え、その治療法にも注目が集まっています。リンパ浮腫のケアのひとつにマッサージがあげられますが、どういったものなのでしょうか?

血液は血管をめぐりながら動脈から静水圧差と膠質浸透圧差による細胞間隙へのろ過と静脈への吸収が行われ全身をまわります。いったんろ過された組織液は約90%静脈に吸収されますが、残りの約10%にあたるリンパ液はリンパ管に取り込まれ最終的に静脈に流れ込みます。

しかし、リンパ管形成不全やリンパの輸送能力に障害を受けるなどの様々な因子によってリンパ浮腫が生じる場合があります。そのリンパ浮腫のケアのひとつとして複合的理学療法があります。複合的理学療法とは、スキンケア、マニュアルリンパドレナージ、圧迫療法、運動療法の4つの方法を患者の状態に合わせて行う非薬物療法で、専門の技術を要する方法です。

リンパ浮腫マッサージは、この複合的理学療法の中のマニュアルリンパドレナージマッサージに相当します。マッサージの目的は、蛋白質の再吸収を促進し、リンパ管の流れをよくなるように刺激することで、表在性のリンパ管から深部のリンパ管へのリンパの流れを増加させることにあります。

手技としては様々な各派があり、細かい手技は異なりますが、目的はひとつであり動きの方向や軽く圧を掛けるなどのアプローチも同じです。最近では、患者数の増加とともにリンパ浮腫セラピストなどの養成も重要な課題となっています。